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神戸地方裁判所姫路支部 昭和49年(ワ)392号 判決

原告

川口博志

被告

中田久男

ほか一名

主文

被告らは各自原告に対し金二一〇万〇二一九円及び内金一九〇万〇二一九円に対する昭和四九年一二月二三日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

原告の被告らに対するその余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の負担とし、その余は被告らの連帯負担とする。

この判決は原告勝訴の部分にかぎり仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求める裁判

一  請求の趣旨

被告らは各自原告に対し金五二五万二六四三円及び内金四九五万二六四三円に対する昭和四九年一二月二三日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決並びに仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する被告らの答弁

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  本件事故の発生

(一) 日時 昭和四七年六月二六日午後四時四五分ころ

(二) 場所 加古川市加古川町美乃里五六二番地先交差点

(三) 加害車両 被告中田保有、運転の単車(加古川は四七九七号)と被告中崎保有、運転の自動車(八姫路く二四七九号)

(四) 被害者 被告中田運転の単車に同乗中の原告

(五) 事故の概要 被告中田運転の単車(以下中田車という)が前記交差点を北進中、西進中の被告中崎運転の自動車(以下中崎車という)と衝突した。

(六) 被害の程度 原告は左大腿皮下骨折、左膝部及び右下腿部裂創、手指挫傷等の傷害を受け、加古川市内山本病院、姫路市内神野整形外科病院等に入、通院した。

2  責任原因

被告らは加害車両を保有し、これを自己のため運行の用に供していたから自賠法三条により原告のこうむつた後記損害を賠償する責任がある。

3  損害

(一) 治療費 金一五六万四六六五円

(1) 昭和四七年六月二六日から昭和四八年二月一九日まで加古川市内山本病院入院治療費金一〇七万一二二〇円

(2) 昭和四八年二月一二日から昭和四九年三月一六日まで姫路市内神野整形外科病院に入、通院治療費金三九万〇八一五円(補装具製作費を含む、二月一二日から二月一九日までの通院は山本病院入院中につき重複)

(3) その間坂田整骨院(治療費金八万三二〇〇円)、岡山大学医学部(治療費金八〇一〇円)、稲田外科(治療費金一四二〇円)に通院治療

(4) 三朝温泉療養費金一万円

(二) 付添看護費 金四九万〇一二〇円

昭和四七年六月二六日から昭和四七年一二月三〇日及び昭和四八年四月一三日から同年六月一五日までの二五二日間医師の指示により付添つた家政婦費

(三) 入院雑費 金一四万九四〇〇円

昭和四七年六月二六日から昭和四八年一〇月三〇日及び昭和四九年一月一二日から同年一月一七日まで四九八日間

入院中の雑費

498×300=149,400円

(四) 通院費 金二万九八〇〇円

昭和四八年二月一二日から昭和四八年二月一九日(山本病院入院中)まで

昭和四八年一〇月三一日から昭和四九年一月一一日まで及び昭和四九年一月一八日から同年三月一六日までの一三九日間(実通院日数三一日)の通院交通費

入院中の通院費

山本病院―神野整形外科病院通院タクシー代

1,800円×2(往復)×2日=7,200円

退院後の通院費

西神吉―国鉄宝殿―国鉄姫路―山電飾磨

(260円+60円+50円)×2(往復)×28日=20,720円

国鉄加古川―国鉄岡山

470円×1日×2人×2(往復)=1,880円

(五) 得べかりし利益の喪失 金五一二万〇〇七七円

(1) 休業損害 金九五万三七八七円

原告は昭和四八年四月一日から明石市役所に採用が内定していたところ、本件事故のため昭和四九年二月まで採用が延期されその間(一〇か月)次の損害をこうむつた。

イ 月額給与×一〇か月=給料損

六万五一二〇円×一〇=六五万一二〇〇円

ロ 夏期賞与損

(本俸53,500+調整手当4,280)×1.91か月1.91+(10,000×60%)=116,358円

ハ 年末賞与損

(本俸53,500+調整手当4,280)×3.05か月3.05+10,000=186,229円

(2) 後遺症による喪失利益 金四一六万六二九〇円

原告は後遺症として自賠法施行令第九級に該当する症状が存するため稼働能力喪失率三五パーセントとして次の損失をこうむつた。

(月額給与×一二か月+賞与)×労働能力喪失率=年間喪失利益

(65,120×12+302,587)×35/100=379,409円

年間喪失利益×係数(一五年稼働として)=喪失利益

379,409円×10,981=4,166,290円

(六) 慰藉料 金二五〇万円

原告は本件事故当時高校三年生であり、昭和四八年三月卒業、四月より明石市役所に採用が内定していたが、本件事故により長期の入院、通院治療を強いられる重傷を負つたため、採用は昭和四九年二月まで延期となつた。又、後遺障害(自賠法九級)があり、歩行、運動その他日常生活に極度の支障を来たす状態である。その精神的、肉体的苦痛を慰藉するのに金二五〇万円を請求する。

(七) 弁護士費用 金三〇万円

原告は本訴を原告訴訟代理人に委任し、その費用として金二〇万円を支払い、本訴結着後その帰属利益の一割を報酬として支払うことになつているが、その合計金の内金三〇万円を本件事故と因果関係ある損害として請求する。

(八) 損益相殺 金四九〇万一四一九円

原告は自賠責保険より金二六二万円、被告らより金二二八万一四一九円を受領した。

これを次のとおり充当する。

治療費 金一五六万四六六五円

交通費 金二万九八〇〇円

入院雑費 金一四万九四〇〇円

付添費 金四九万〇一二〇円

喪失利益 金一六六万七四三四円

慰藉料 金一〇〇万円

4  結論

よつて原告は被告ら各自に対し損害賠償として金五二五万二六四三円と内金四九五万二六四三円に対する訴状送達の翌日たる昭和四九年一二月二三日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

(被告中田)

1 請求原因1の事実中、事故発生の事実は認めるが、原告の傷害の内容、程度は不知。

2 同2の事実中、被告中田が中田車を保有し、自己のため運行の用に供していたことは認めるが、原告も被告中田と共同運行供用者であつたものである。本件事故は、被告中田と被告中崎の双方の過失により発生したものである。

3 同3の事実はすべて争う。

ことに後遺症による逸失利益は否認する。原告主張の後遺障害が存するとしても、そのような逸失利益は認められない。

金四九〇万一四一九円の損害填補の事実は認める。

(被告中崎)

1 請求原因1の事実中、事故発生の外形的事実は認めるが、被害の程度は不知。

2 同2の事実中、被告中崎の帰費事由は認める。

3 同3の事実は不知、ただし弁護士報酬契約の存在及び額については認めるが、被告らの負担すべき額の相当性については争う。

4 本件事故は、被告中田が一時停止の標識を無視し、前方不注視のまま、高速度で交差点に進入したため発生したものであり被告中田の過失によるものである。仮に被告中崎に過失ありとするも被告中田の過失に比して極めて軽微である。このような場合は過失割合(寄与度)に応じた分割責任か、過失割合に応じた範囲内での連帯責任を負わしめるのが妥当である。

三  抗弁

(被告中田)

原告と被告中田とは高校入学以後同級生となつて以来の親友である。当日も、原告は他から借用した単車を返還するため、自宅からその単車に乗り加古川市野口町水足の橋本方までいつてこれを返還したが、被告中田も中田車を運転して共にそこに行つた。ところが原告は右橋本方から自宅まで被告中田の運転する単車に同乗して帰途本件事故が発生したものであり、その間被告中田と原告とが交互に中田車を運転し、ないしは運転することとしていたのである。以上の事実から

1 原告は中田車の運行供用者性を取得し、ないし他人性を阻却していた。この場合被告中田には賠償責任はない。

2 仮にしからずとするも、原告は

(一) いわゆる好意同乗者として

(二) 原告にも過失あるものとして

損害賠償額の算定(特に慰藉料)につき斟酌されるべきである。

(被告中崎)

1 免責

(一) 被告中崎は中崎車の運行に関し注意を怠つていない。本件事故は被告中田の過失によるものである。

すなわち、本件事故現場交差点は見とおしが良く、東方、南方道路から相互にその手前数十メートル手前から見とおしが可能である。原告同乗の中田車の進行していた東西道路には西進車用の一時停止の標識が極めて見易い場所に設置されている。被告中崎は、中田車を発見したが中田車が一時停止するものと信じて、減速したまま本件交差点に進入したところ、被告中田は前方を確認せず、高速のまま本件交差点に進入したため本件事故を発生せしめたものである。

(二) 中崎車には構造上の欠陥、機能上の障害はなかつた。

2 弁済等

(一) 被告中崎は昭和四八年二月二〇日原告に金三〇万円(原告の治療費等の分担金として被告中田に支払つたもの)同月二一日金二万二〇三〇円(山本病院治療費)、同月二三日金二万三三五五円を弁済した。

(二) 原告は被告中崎の自賠責保険より金五〇万円、後遺障害補償として金一三一万円を受領している。

3 過失相殺

(一) 原告は被告中田と日頃から親しく、当日も原告が友人から借りた単車を返還するため、中田と同行して友人宅へ行き、その後被告中田が原告を自宅まで送るため、原告を同乗せしめて運転していたものである。原告は単なる好意同乗者というより共同運行供用者である。したがつて、被告中崎に対する請求については、被告中田の過失を過失相殺の対象とすべきである。

(二) 仮に共同運行供用者と認められないとしても、原告はいわゆる好意同乗者であつたから、被告中崎の関係においても損害額の算定に当り相当程度減額されるべきである。

四  抗弁に対する認否

被告中崎の抗弁2の事実は認める。

第三証拠関係〔略〕

理由

一  本件事故の発生について

本件事故発生の事実は当事者間に争いがなく、成立に争いない甲第二号証の一、二によれば原告が原告主張の受傷をし、山本病院、神野整形外科病院において受診したことが認められる。

二  被告らの責任について

被告中田が中田車を保有し、自己のため運行の用に供していたこと、被告中崎が中崎車を保有し運行の用に供していたことは当事者間に争いがない。

なお、被告中崎は本件事故は被告中田の一方的過失か、仮にそうでないとしても、被告中崎の過失は極めて軽微であるから過失割合(寄与度)に応じた分割責任か、過失割合に応じた範囲内での連帯責任を負わせるのが妥当であると主張するが、被害者にできるだけ損害を填補させる趣旨から右主張は採用しない。

ところが、被告中田は、原告は中田車の運行供用者性を取得し、ないしは他人性を阻却し責任がないと抗弁(被告中田の抗弁1)し、被告中崎は免責の抗弁(被告中崎の抗弁1)を提出するので判断する。

成立に争いない乙第三号証、第五号証及び原告本人、被告中田久男本人各尋問の結果を総合すると、原告と被告中田は本件事故当時兵庫県立東播工業高校三年の同級生であり、加古川市野口町水足の級友藤本のところに原告が借りていた単車を返しに行き、被告中田も自分の単車を自宅から持ち出して一緒に藤本方に行き、原告は藤本に単車を返した後被告中田運転の単車に同乗して帰途本件事故が発生したこと、原告も本件交差点に入る前から中崎車に気づいていたが、同車が一時止まりそうになり又速度をあげて進行するので危いと思つたがそのときは中田車がすでに交差点に近づいていたので何も言わなかつたことが認められる。しかし、原告と被告中田が交互に中田車を運転し又は運転することになつていたことを認めるに足りる証拠はない。右事実から、原告が中田車の共同運行供用者性を取得したとか、他人性を阻却すると解釈することは困難である。被告中田の抗弁1は理由がない。

次に成立に争ない乙第一ないし第九号証及び原告本人、被告中田久男本人、被告中崎修本人各尋問の結果を総合すると、本件事故は被告中田の前方不注視、一時停止標識無視等に起因すること、中崎車に構造上の欠陥、機能上の障害がなかつたことが認められる。しかし、被告中崎が中崎車の運行に関し注意を怠らなかつたことについては、これを認めるに足りる証拠はない。かえつて右証拠によれば被告中崎は、本件交差点を南から北へ直進するさい、右方道路のみとおしが困難であつたのに徐行して左右の安全を確認すべき義務を怠つた過失が認められ、右認定に反する被告中崎修尋問の結果の一部は信用しない。そうだとすると、被告中崎の抗弁1(免責)は結局理由がない。

三  過失相殺(好意同乗)の抗弁について(被告中田の抗弁2、被告中崎の抗弁3)

原告が中田車の共同運行供用者とは認められないことは前記二において説示したとおりである。そして、原告自身に過失を認めるに足りる証拠はない。しかし前記二において認定した事実関係によれば、原告は中田車の好意同乗者と認めるのが相当であつて、原告の被告中田に対する損害賠償請求については過失相殺の法理を準用して損害額の算定にあたり斟酌するのが相当である。そして前記認定の同乗の態様から損害額の三〇パーセントを減額するのを相当とする。

しかし、原告が中田車の好意同乗者であつたことをもつて、被告中崎の損害賠償責任軽減の理由となしうるかどうかについては問題のあるところである。本件事故は、原告が藤本方に単車を返しに行き、級友の被告中田が自宅から中田車を持ち出してわざわざ同道し、その帰途原告を自宅に送りとどけるため、被告中田が自己の単車に原告を同乗させ運転し、本件交差点を東から西へ直進中に発生したものであり、本件交差点に近づいたさい原告は中崎車が南から北へ本件交差点に進入しているのを認め危険を感じたが、被告中田に対し何らの警告を発することもなかつたことが明らかである。かかる事情のもとにおいては、被告中崎の損害賠償請求についても、被告中田に対すると同様の理由により三〇パーセントの損害額の減額をするのを相当とする。

四  損害額について

1  治療費 一四三万五四四五円

成立に争いない甲第六ないし第一一号証によれば、原告は昭和四七年六月二六日から昭和四八年二月一九日まで山本病院に入院治療を受け少くとも金一〇七万一二二〇円を支出したこと、昭和四八年二月一二日から昭和四九年三月一六日まで神野整形外科に入通院し、金三六万四二二五円を支出したことが認められるが、その余の治療費の支出をしたことを認めるに足りる証拠がない。

2  付添費 四九万〇一二〇円

成立に争いない甲第二号証の一、二によれば原告は昭和四七年六月二六日から同年一二月三〇日までの一八八日間山本病院及び昭和四八年四月一三日から同年六月一五日までの六四日間神野整形外科病院合計二五二日間の付添看護を要したことが認められ、原告本人尋問の結果によれば付添婦を雇つたことが認められる。そして一日当りの付添婦の実費は二〇〇〇円を下らないことは公知の事実であるから、少くとも原告主張の四九万〇一二〇円は損害と認めるのが相当である。

3  入院雑費 一四万九四〇〇円

成立に争ない甲第六ないし第一三号証によれば原告は昭和四七年六月二六日から昭和四八年一〇月三〇日まで、昭和四九年一月一二日から同年一月一七日まで合計四九八日間山本病院及び神野整形外科病院に入院したことが認められる。入院雑費一日三〇〇円を要することは公知の事実であるから右入院期間四九八日には合計一四万九四〇〇円を要したと認めるのが相当である。

4  通院費 二万二六〇〇円

成立に争ない甲第一一号証、原告本人尋問の結果、弁論の全趣旨を総合すると、原告は昭和四八年一〇月退院後三〇日間は神野整形外科に通院し、又岡山大学病院にも通院し、山本病院入院中は知人の自動車に乗せてもらつて通院したことが認められる。その費用は二万二六〇〇円と認めるのが相当である。

5  得べかりし利益の喪失 五一一万九〇六二円

(一)  休業損害 九五万三六〇七円

成立に争いない甲第四、五号証、丙第二号証、第三号証の一、二、原告本人尋問の結果を総合すると、原告は昭和四八年度明石市職員採用試験に合格し、昭和四八年四月から明石市に勤務が内定していたところ、本件事故のため昭和四九年二月まで一〇か月間採用が延期されたこと、その間の次の損害をこうむつたことが認められる。

(1) 給与損 六五万一〇二〇円

本俸53,500円+調整手当4,280円+時間外勤務手当6,822円+住居当手500円=支給総額65,102円

六万五一〇二円×一〇=六五万一〇二〇円

(なお昭和四八年四月当時本俸は月四万五〇〇〇円であつたが給与改訂により五万三五〇〇円となつた)

(2) 夏期賞与損 一一万六三五八円

(本俸)53,500+(調整手当)4,280×(月)1.91+(10,000×60%)=116,358円

(3) 年末賞与損 一八万六二二九円

(53,500+4,280)×3.05+10,000=186,229円

(二)  後遺症による喪失利益 四一六万五四五五円

成立に争いない甲第三号証、原告本人尋問の結果によれば、原告は昭和四九年三月一六日に症状固定したが、大腿骨の変形が著明であり、膝の機能障害が存在し自賠法施行令第九級に該当し、その稼働能力喪失率は三五パーセントと認められる。そこで次の損害をこうむつたものと認めるのが相当である。

((月額給与)65,102円×(12か月)12+(賞与)302,587)×(労働能力喪失率)35/100=(年間喪失利益)379,333円

(年間喪失利益)379,333円×(ホフマン係数-15年減収継続するものとする)10.981≒(喪失利益)4,165,455円

6  慰藉料 二五〇万円

原告は本件事故のため入院四九八日、通院三〇日の傷害を受け、大腿骨の変形等のため歩行運動等の機能障害を残す自賠法施行令第九級該当の後遺障害を受けている。これら諸般の事情を考慮し、慰藉料金二五〇万円をもつて相当と認める。

7  弁護士費用 二〇万円

原告が本訴を原告訴訟代理人に委任したことは記録上明らかであり、所定の着手金及び報酬を支払うべき義務を負担したことは明らかであるが、そのうち金二〇万円をもつて相当な損害と認める。

8  損害の填補 四九〇万一四一九円

被告中崎の抗弁2の事実は当事者間に争いがない。しかし、原告はすでに自賠責保険から金二六二万円、被告らから金二二八万一四一九円合計四九〇万一四一九円を受領した(原告と被告中田との間には争いがない)ことを認めた上で、これを控除して本訴請求をしている。被告中崎の抗弁2の事実はこの請求外の損害についてのものと認める。

9  好意同乗による減額

前記三に説示したとおりの理由により、損害額1ないし6の合計九七一万六六二七円の三〇パーセントを減ずると六八〇万一六三八円となる。

10  原告が請求しうる損害額 二一〇万〇二一九円

(好意同乗による減額の損害)6,801,638円+(弁護士費用)200,000円-(填補された損害)4,901,419円=2,100,219円

五  結論

よつて原告の被告らに対する本訴請求は、被告らは各自原告に対し金二一〇万〇二一九円及び内金一九〇万〇二一九円に対する訴状送達の翌日たることが記録上明らかな昭和四九年一二月二三日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において正当であるからこれを認容し、その余は失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条一項但書、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 塩田武夫)

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